[投稿日] 2010年6月4日
起伏無く且つ論評を挾まぬため面白味は薄いが、淡々と細敍する姿勢を述ベテ作ラズと好もしく感ずる向きもあらう。趣味の違ひとしておく。但し誤植多し。問題は記述が何に據ったのかで、卷末に「参考資料」一覽あれど何をどこから引いたのやら文中に一切參照指示無く、文獻考證癖を滿たしてくれぬ。察するに、主たる材料は石塚友二自身の隨筆類で、一人稱を三人稱に書き直しながら時系列順に要約していったものかと思はせるが、當れりや。俳句に關心無きも出版人としての人脈は興味そそり、特に岩本和三郎ら書物展望社・文體社時代の同僚についてはもっと知りたいところ、いづれ別口から調べねばなるまい。
二〇〇一年十二月刊初版の新裝版。
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20140707/p2