[投稿日] 2011年8月2日
八百ページを超す大著。第六部「章学誠と『文史通義』」だけで五章百十ページを費やすが、鋭さが無いので詰まらない。學術書は面白味無くても眞面目に研究してればいいと言ふのなら仕方も無いが、知識滿載なのでもない。代表作と代表的人物だけ取り上げて專門論文にしたのを列ねて著書にするやり方は、雜學多識な内藤湖南『支那史學史』と對照的だ。
見どころとしては、前著『中国の歴史思想――紀伝体考』から引き繼いで『史記』を論じた第二部第一章・第二章か。司馬談・遷父子の秦人たりしことを強調、そこから暴秦論への對抗の意を讀み解くのが創見らしい。
あと、山口久和著もさうだったが、漢文を訓み下し體で引用するのは結構ながら、專門家には當り前の訓み方もあるにせよ、強引に訓み下してあるやうな難訓字にルビを振らずにをるのは、何か、さういふ流儀なのかいな。
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