[投稿日] 2014年4月20日
やっと安値で發見。文藝春秋(?)の資料室廢棄本。必携の基本書ではある、が、期待に滿たない。
書名五十音順排列で、それ以外の索引が全く無い。折角、專門事典類も多々收めるのに、分類が無いから碌に引き當てられぬ。ファインディング・リストに留まり、未知文獻を檢索するコロケーション機能が無いわけ。
各項は、大半が即物的で簡略な記述に留まり解題と言ふには物足らない。
「はしがき」によれば「昭和四四、五年のころ」「編者(惣郷)の手許にあった各種辞書類は約二五〇〇点に過ぎず、その後、ほとんど全国にわたって古書展を巡り、数年間に五〇〇〇点を超えるまでに到った」。數は増えたとて、七年間で二千を超す内容に通曉することを求めるのは無理あるから、解題が掻い撫でになったとて當然かしらぬ。しかし惣郷正明は遂に辭典コレクター止まりで、調べ物をする辭書事典利用者としての見識を備へられなかったのではあるまいかと猜せられる。
類書の比較は『日本の参考図書 解説総覧』(一九八〇年)を併せ見るべし。逆に、そちらが先に出てゐれば編輯の參考にできたらうに。とはいへ、『日本の参考図書 解説総覧』作成にあたり總記部門に參加中だった深井人詩は、本書「はしがき」で協力者として井門寛・丸山信と共に名が擧がってゐるので、もっと助言できなかったのだらうか――と思ふのも望みすぎか。