[投稿日] 2015年8月16日
奧附刊記は「昭和五二年八月発行」とのみありて日附無し。
「子どもの本の研究」と稱し、兒童文學研究から出ようとして、なほ離れ切れずにゐるところが問題。卷頭「座談会 子どもの本の研究をどうすすめるか」にて最初に問題提起する鳥越信曰く、「児童図書のなかには文学以外のジャンルもあるからという、単純なものではないんです。ゴーリキイは、理科的なものまで含めて全部児童文学と呼んでいいと言っているくらいですから、子どもの本はすべて児童文学だと、ぼくらも考えているのです」――ウン、まづその文學への拘泥を脱却しなくっちゃ。そして心理學や教育學に助力を仰ぐ前に、本そのものを研究する書誌學・書物史に開眼すべし。