[投稿日] 2011年7月8日
全體の三分の一を占める清代の記述が壓卷(『清朝史通論』の「経學」「史學及び文學」の章と併讀すべし)。新しい時代から遡って讀んでいった方が面白いかも。章學誠論が未成に終ったのは惜しい。
索引の間違ひと不足が少し氣になった。
[投稿日] 2011年7月8日
全體の三分の一を占める清代の記述が壓卷(『清朝史通論』の「経學」「史學及び文學」の章と併讀すべし)。新しい時代から遡って讀んでいった方が面白いかも。章學誠論が未成に終ったのは惜しい。
索引の間違ひと不足が少し氣になった。
[投稿日] 2011年7月8日
湖南全著作中第一に指を屈すべき名著――但し、學問方法論への志向を讀み取らねば眞價が味はへまい。鄭樵その他目録學に關する敍述もかなり含み、湖南全集第十二卷「支那目録學」と竝べて補ふべきもの。吉川忠夫「解説」も良い。
瑕釁はある。唐代の杜佑『通典』について、内藤湖南全集の「通典の著者杜佑」(第六卷、初出一九二九年)「昭和六年一月廿六日御講書始漢書進講案」(第七卷)での高評價に比べると記述が薄くて目立たないのは、不審。しかも朱子が杜佑を「古を是とし今を非とするの書である」と評したとある(p.317)のは、講義ノートに據った遺著にしてもひどい謬記で、原文は「非古是今之書」(朱子語類卷第一百三十六歴代三)と正反對。それでなくては支那には珍しい杜佑の進歩主義を評價した意味が無くなってしまふ。さらに、杜佑が民俗學的考察法の先驅である點について他では強調してゐたのにこの『支那史學史』中に全く觸れてないのも訝しいことで、湖南もまだ大正年間の講義中にはそれに氣づいてなかったとか?
[投稿日] 2011年5月16日
佐藤健二「柳田国男の歴史社会学」は既往の讀者にとっては新味無し。田中紀行「現代日本における歴史社会学の特質」の、日本では日本史研究者が社會史を近現代でやらないからその空白を埋める意味で歴史社會學と稱して社會學者が代ってやってしまふといふ指摘(p.170)は、言はれてみれば妙な分業關係ではある。しかしこの『(上)』を見る限りウェーバーは名目だけといふ感じだ。國際會議にありがちな中身薄い寄せ集め。下卷は見送り。
目次 http://honto.jp/netstore/pd-worklist_0602296077.html
[投稿日] 2011年4月23日
目次 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2992367
[投稿日] 2011年3月26日
余は如何にしてメディア史研究者となりしか、を綴る自傳的構成。その個別例を以て歴史學一般の問題にどこまで迫れたかが肝要だが……。すらすら直ぐに讀み了へられ達意の文である分だけ、あまり理論的考察に踏み込めないのは、この輕い叢書の性格上已むを得まい。
この本で論じ切れてない問題を引き取ると、著者が擧げる「宣伝」「公共性(圏)」「国民化」の接眼レンズ三點セットよりも重要なのは、「私はどれだけ大衆なのか」(p.71)といふ問ひと見た。大學大衆化に抗する「フンボルト理念」を創られた傳統と承知の上で信奉すると言ふが(p.10)、單なるエリート教養主義でなしに現在のマンモス大學や大學外の大衆社會でその理念は果して實踐し得るのか。享樂を好む大衆性は一面でアカデミズムに對するディレッタンティズム(pp.67-68)にも繋がるし、「社会史ブームは、[……]歴史学の印象を非政治的な雑学趣味にしてしまった」(p.29)といふ事態の底には歴史學徒さへももはや「政治的人間である「市民」」(p.29)から大衆に化したといふ社會状況があるのではないか。また世俗の垢に泥んだ大衆からすれば、鈴木庫三が「野蛮な軍人」ではなく「生真面目過ぎるほどの情熱」を持った「教育改革」の提唱者であったといふ發見(pp.87-88)は、鈴木を免罪するよりは寧ろそんな糞マジメだからこそ端迷惑な惡果を生じたといふ見方になるべきではないか。
「ひょっとするとディレッタントは誉め言葉だったのかもしれないが」(p.67)……否、蔑稱だったとしても、その價値判斷を逆轉すべきなのだ。佐藤卓己には、自分の長所がオモシロガリズムにあることを忘れないで貰ひたいものだ。
目次 http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0283220/top.html
[投稿日] 2011年3月26日
[投稿日] 2011年3月6日
この手の選集は粒選りの筈だが、それでこれだけ詰まらぬ論が多いってことは……。
[投稿日] 2011年2月13日
[投稿日] 2011年1月21日
同じく中山治一譯の『歴史的感覚と歴史の意味』(〈創文社歴史学叢書〉一九七二年四月)と、いづれ對校すべし。
目次 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1041161
[投稿日] 2011年1月8日