支那史学史 (1) (東洋文庫 (557))

平凡社 / 1992-11刊 / ¥3,132
讀了: 2011-07-08

[投稿日] 2011-07-08

 湖南全著作中第一に指を屈すべき名著――但し、學問方法論への志向を讀み取らねば眞價が味はへまい。鄭樵その他目録學に關する敍述もかなり含み、湖南全集第十二卷「支那目録學」と竝べて補ふべきもの。吉川忠夫「解説」も良い。
 瑕釁はある。唐代の杜佑『通典』について、内藤湖南全集の「通典の著者杜佑」(第六卷、初出一九二九年)「昭和六年一月廿六日御講書始漢書進講案」(第七卷)での高評價に比べると記述が薄くて目立たないのは、不審。しかも朱子が杜佑を「古を是とし今を非とするの書である」と評したとある(p.317)のは、講義ノートに據った遺著にしてもひどい謬記で、原文は「非古是今之書」(朱子語類卷第一百三十六歴代三)と正反對。それでなくては支那には珍しい杜佑の進歩主義を評價した意味が無くなってしまふ。さらに、杜佑が民俗學的考察法の先驅である點について他では強調してゐたのにこの『支那史學史』中に全く觸れてないのも訝しいことで、湖南もまだ大正年間の講義中にはそれに氣づいてなかったとか?

出版を学ぶ人のために―出版ジャーナリズム文献綜覧 (1979年)

第一書店出版部 / 1979-02刊 / ¥1,944
購入: 2014-03-08  /¥100
読中 古書

[投稿日] 2014-03-08

 増補新版、「V 補遺」pp.217-258が「出版に関する書誌の部 補遺」として初版以來四年間に刊行された「約六百点」(「増補新版 あとがき」)を加へたもの、但し「昭和五〇年以前」についても六ページ八十六點(pp.217-222)を補ふ。翌一九八〇年に増訂新版を出す。

メルロ=ポンティと言語

世界書院 / 1988-10-31刊 / ¥2,600
購入: 2002-06-01  /¥300
讀了: 2015-07-03 哲学・思想

[投稿日] 2015-07-03

Phaenomenologica 25
 メルロ=ポンティに見られる讀解法を評して曰く、「フィンク流に言うならば、相手の論拠で用いられている「操作概念」を、求心的な読解を介し「主題概念」へともちきたらす」(「序 メルロ=ポンティ〈の〉読解 レクチュールとエクリチュールのはざま」p.14)――出典註を附さぬが、オイゲン・フィンク「フッサールの現象学における操作的概念」(新田義弘譯、新田義弘・小川侃編『現象学の根本問題』〈現代哲学の根本問題8〉晃洋書房、一九七八年十一月)に據る。これを自身に施せば、「思想家にとって本質的なことは、彼が自分自身でずっと以前から適用していた当の方法を顕在化し主題化することでしかない」(p.50)。同じ傳で主題化されたのが、言語であるといふわけ。「第一部 語る語られた言語」では『行動の構造』『知覚の現象学』等のメルロ=ポンティの論が、行動主義心理學やゲシュタルト心理學が記述や説明に用ゐる言語への批判としてあったことを示す。「第二部 語られた語る言語」にて、ソシュール著と出會った中期以降におけるメルロ=ポンティにとっての主題概念となってからの言語論を讀み解いてゐる。フッサール(フッセルと表記)への參照が多いのは當然として(Phaenomenologicaといふシリーズだし)、ベルクソンが引合ひにされるのが目立つ。

日華大辞典〈第1-3巻〉

東洋文化未刊図書刊行会 / 1936刊 / - /
購入: 2011-08-11  /¥300
読中 古書

[投稿日] 2011-08-11

 三十萬餘の語彙數を誇り口語俗語をも多く含むことは、當時の國語辭典にも求めて得られぬ特色だらう。和語をどう漢語に變換するかといふ面から見れば俗→雅辭典の機能も幾らか持つわけである。題扉にNipponese-Chineseと列んで Nippon-Manchukuoとも記され、北支・滿洲での利用を想定したもののやうだ。「原型版」とあるので、大陸で發行された版があらう。
 作例が時代色を表はしてゐて、今見ると可笑しい。當然ながら日本帝國主義も露骨だが、戰後臺灣で複刻した際には差し替へたのだらうか。それにしても語義説明の文まで「てゐる」が「てる」と俗語調なのはどうしたことか。
 東洋文化未刊圖書刊行會といふ版元も變な名稱でこれ以外出版した形跡が無いのだが、東京朝日新聞一九三九年四月九日附廣告によると會長は芳澤謙吉。

「教育・國語教育」秋期特別號 現代文學の思潮と國語教育

厚生閣 / 1935-11-03刊 / ¥2
購入: 2015-10-23  /¥200
未読 文学・評論

[投稿日] 2015-10-23

 タイトルの冠稱は標題紙より採った。背では角書「教育・國語教育/臨時號」、奧附には「《教育・國語教育》特別號」とあり。
 改題單行本『新文藝思潮と國語教育』(一九三六年九月)と目次變らず、同紙型なるべし。
 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1220693?tocOpened=1
 http://www.geocities.jp/moonymoonman/i/shinbungeisichou.txt

熊楠研究 第9号

南方熊楠研究会 / 2015-03-31刊 / ¥3,000
購入: 2015-05-02  /¥0
未読 人文・思想

[投稿日] 2015-05-02

 實際の發賣は四月廿三日頃らしい。
 Cf. http://minakuma.exblog.jp/24394705
 九年ぶりの復刊。挾み込み送り状「『熊楠研究9』の送付について」の差出人は「南方熊楠研究会準備委員会」。つまり奧附等には「熊楠研究会編」とあるも同會は正式には未成立と判ぜられる。卷頭「『熊楠研究』の復刊について」は「『熊楠研究』編集委員会」の名義となってゐる。
 「南方熊楠・岡茂雄往復書簡」は、標題には記してないが前半のみで、次號にも續載の由。昭和初年に出版界の一角を占めた岡書院から見た出版史の資料でもある。わからず屋で誤解から猜疑心を起こす南方に懇々と説明する岡の手紙が、自づと當時の出版業界の慣行の記述を成す。

目次 http://www.minakata.org/cnts/kankoubutu/index.cgi?v=54200

南方熊楠・小畔四郎往復書簡(二) [大正七年~大正十年]

南方熊楠顕彰館 / 2009-04-30刊 / ¥1,080
購入: 2016-03-26  /¥500
未読 文化人類学・民俗学

[投稿日] 2016-03-26

 〈南方熊楠資料叢書〉のうち。
http://www.minakata.org/cnts/kankoubutu/index.cgi?v=96l01&p=0