内藤湖南全集〈第12巻〉

筑摩書房 / 1997-10刊 / ¥8,100
讀了: 2011-07-08

[投稿日] 2011-07-08

 佐村八郎『國書解題』を難ずる文は本卷『目睹書譚』中「野籟居讀書記」二(pp.69-71.)にて、谷澤永一も再三引く所なれど、これ即ち、湖南は鄭樵「校讎略」における解題法の論(『支那目録學』pp.416-417,「支那の書目に就いて」p.457)を應用せるものなりと覺えたり。『支那目録學』は冒頭に「かの佐村氏の「國書解題」などでも[……]解題の意味をなさぬ」云々と見え、また『支那史學史』「九 宋代に於ける史學の發展」中「七 鄭樵の通志」にも崇文總目の解題の冗を批判せる條を引きつつ「これなどは近頃出来る解題の中にもあてはまるものがあるであらう」(東洋文庫版p.316)と述ぶるは『國書解題』が念頭にありたるものの如し。

内藤湖南への旅

藤原書店 / 2011-10-21刊 / ¥3,024
ウィッシュ ノンフィクション

[投稿日] 2011-10-23

 12章の支那目録學への關心から店頭で手に取ったら、後半へ行くほど湖南の傳記からも著作からも離れて著者自身の關心する文明論の開陳になってしまってゐる感じ、讀むの止めた。
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1217

内田魯庵全集 別巻 雑纂

ゆまに書房 / 1987-12-10刊 / ¥5,800
購入: 2015-10-31  /¥2000
未読 文学・評論

[投稿日] 2015-10-31

 最終卷。挾み込み册子は「全巻目録」「正誤一覧」より成る。
酒鬼
當世文學通
紅葉山人の「拈華微笑」
讀小説法
當世作者懺悔
歳末最後の所感
藏書の趣味
二十世紀 質屋の車
百科全書の過去及現在
感じを現はす言葉
社會批評家としてのバアナアド、ショオを論ず
英國に於けるイブセン劇の編年書史
森鴎外論
明治の飜譯
ブランデスの讀書論
新希臘主義
移轉男
又玄夜談
語録趣味
落伍者也、失敗者也
強兵の幻滅
財産没収叩き放し
惡辣政治家の傀儡たる勿れ
余が愛讀の紀行
禁酒・節酒・小酌論の根據及び其批判
家賃は漸減すべし
小部落を作るのみ
私の趣味 私の家庭に於ける遊戯とその方法
罰金税
兒孫の爲に蓄財するの可否
歌舞伎座で見たい狂言
インカの古陶器を前にコレクションの定義を
説く魯庵氏
悲しむべき世の傾向
一番不足してゐる科學的興味
凧のウナリ
女は進歩した
諸名士の雑誌新年號觀
『文藝東西南北』 序
閲覽聽聞月録
茶代は輕きに失せず
私の此頃の生活
新著を閑却するは本當の讀書家に非ず
寫眞の話
興味深く讀んだもの
貧困時代は終始一轍
明治文藝展に就て
文化移植時代
此頃の日記
婦人に薦めたい書物
窓から眺める
手持無沙汰
我子の場合
書籍の話
進歩したと思ふこと退歩したと思ふこと
日記(一)~(七)
内田魯庵年譜 野村喬編
内田魯庵著述年譜 野村喬編
解題 野村喬
解説 野村喬

内田勇三郎 追想集

内田純平 / 1977-08-10刊 / - /
購入: 2015-04-25  /¥100
未読 自伝・伝記

[投稿日] 2015-04-25

 非賣品、編者は長男、歿後十年記念。挾み込みあり、内田純平編『『内田勇三郎追想集』執筆者の紹介』本文七ページ。國會圖書館・CiNii所藏無し。
 内田・クレペリン作業檢査法で知られる心理學者。他に戸川行男・外岡豊彦・内田純平編『心理学者内田勇三郎のしごと』(日本・精神技術研究所、一九八三年)、内田純平『迷留辺荘主人あれやこれや 心理学者内田勇三郎の生き方の流儀』(近代文芸社、一九九五年)があるらしいが未見。

六書校合 定本 「坊っちやん」

朝日書林 / 1999-02-04刊 / ¥2,800
購入: 2017-01-15  /¥100
未読 文学・評論

[投稿日] 2017-01-15

 裸本。著者名「高」は髙(梯子高)。
 正字體印刷。「解説」末尾に曰く「TeXといふ組版ソフトを使つて整版に附することのできる一歩手前の原稿(ファイル)を作り、東京書籍印刷株式會社に注文して補完した」(p.329)。

山下浩評
http://www008.upp.so-net.ne.jp/hybiblio/3_05.htm
大野淳一評
http://amjls.web.fc2.com/zasshi/064.pdf (p.203)

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA43926496
 書名を國會圖書館は「坊ちゃん : 六書校合定本」と誤寫してゐたが、修正させた。
http://id.ndl.go.jp/bib/000002768351

信濃教育 第1020号(十一月号) 「特集 手塚縫蔵先生」

信濃教育会 / 1971-11-01刊 / ¥170
購入: 2015-08-02  /¥100
未読 自伝・伝記

[投稿日] 2015-08-02

目次 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/6070585?tocOpened=1
 召田潔「手塚縫蔵先生略年譜」の大正八年の項(p.157)に「折口信夫氏を招き国文学の話をきく。爾来連続三十年間折口先生来講の基となる。」「柳田国男先生の学問を移入して東筑摩郡誌の出版あり」と記される人物だが、民俗學關係者の寄稿は見えず、「基督者」として取り上げる文が目立つ。

作家・作品シリーズ10 武田泰淳

東京書籍 / 1983-04刊 / - /
購入: 2016-07-31  /¥100
未読 文学・評論

[投稿日] 2016-07-31

 新書判・輕印刷・128ページの小册、奧附刊記には「昭和58年4月」と月のみで日附無し、また賣價標記無し。東京書籍株式会社東京支社員の名刺の挾み込みあり、國語教科書の販賣促進のため配った教師用指導書に類すると覺しいが、虎の卷にしては教育臭が無い。國會圖書館所藏無し。
 この〈作家・作品シリーズ〉は、國會圖書館に『2 太宰治』(一九七六年四月)『3 夏目漱石』『4 森鴎外』(一九七七年四月)『5 芥川龍之介』(一九七八年四月)『6 川端康成』(一九七九年四月)はあれど、2~5の刊年が一九七八年に揃ってゐるのは不審。神奈川近代文学館OPACにより2・3・4・6の刊年を記した。
https://ndlopac.ndl.go.jp/F/KS4BU9GDJFG3T6SIDNHRS1NSAH1FFMPHQT5BR1MYMDRBHKAR4F-08786?func=find-acc&acc_sequence=033155541
 加へて神奈川近代文学館は『7 井伏鱒二』(一九八〇年五月)『8 小林秀雄』(一九八一年四月)『9 大岡昇平』(一九八二年五月)まで所藏。
 CiNiiは『5 芥川龍之介』のみ登録あり。
 http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN07264990

古林尚「閃鑠する告発者――含羞の人を悼む――」(再録加筆)pp.5-25
高橋春雄「『司馬遷――史記の世界――』について」pp.26-48
三谷博俊「「物語の反逆」――『才子佳人』論――」pp.49-64
竹内清己「『風媒花』論」pp.65-81
吉田凞生「『ひかりごけ』」pp.82-94
秀実「「全体」の破産――『富士』について――」pp.95-111
川崎賢子「武田泰淳研究略史」pp.112-128

住谷天来と住谷悦治―非戦論・平和論―

みやま文庫 / 1997-06-30刊 / ¥1,500
購入: 2016-10-02  /¥200
未読 人文・思想

[投稿日] 2016-10-02

 國會圖書館所藏無し。「頒布価格」は「会員外一册一、五〇〇円」。發行所みやま文庫は「群馬県立図書館内」。

住谷一彦「住谷天来への支店――非戦平和の思想像――」
住谷一彦「住谷天来と父・悦治」
手島仁「解説 住谷天来」
手島仁「解説 住谷悦治」
森村方子「住谷文庫と群馬県立図書館」
年表・住谷天来
年表・住谷悦治
住谷家略系譜
著作目録・住谷天来
著作目録・住谷悦治
住谷磬「あとがき」
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA31888119

仮面の倫理

シルフェ会(明治学院大学大学院英語英文学研究同人会) / 1976-01-31刊 / ¥1,200
購入: 2015-08-15  /¥400
未読 文学・評論

[投稿日] 2015-08-15

目次 http://library.main.jp/index/jst02980.htm
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA3731737X
 標題紙でのみ書名に「文学論集」と冠する。國會圖書館所藏無し。
 「ここ数年のあいだに、紀要や同人誌などに発表したエッセイをまとめたもの」(「あとがき」p.157)。紀要に載せたにしては研究論文の體を成さず、感想批評どまり。方向や材料は惡くない趣味みたいだが、文章も行論も思考を伸展させぬので讀みごたへがしない。

仮想の近代―西洋的理性とポストモダン

東京大学出版会 / 1992-10刊 / ¥3,456
購入: 2014-11-14  /¥200
讀了: 2009-00-00 人文・思想

[投稿日] 2009-10-29

 ドイツ法學の權威が定年近くになって現代思想へ踏み出した志向を示す論集。基本的に泰西諸説を綴り合せて調停しながら論を成し、自家獨立の識見は窺ひ難い。よく勉強してあって秀才らしく整理されてゐるものの輸入學問といふか飜譯的知性といふか。語學力無き菲才の身には要約紹介として役立つ。
 「IV 歴史と偶然」は問題提起に留まって結論に及べなかったやうだが、材料は面白い。「歴史概念の変遷」に就きラインハルト・コゼレック『歴史基本概念事典』「歴史」の項目を紹介した上で、カントの歴史哲學にとって偶然性が問題となる所以をマンフレート・ゾンマーの解釋に從って考察したもの。
 書き下ろし新稿「VI ヨーロッパの近代とポストモダン」も、人文主義的文化を論じて興味そそる。そこで使はれたスティーヴン・トゥールミン著はその後『近代とは何か その隠されたアジェンダ』と題して出た譯書で讀めるが、それ以上に著者に評價され、近代の辯神論について引證されるオード・マルクヴァルト『偶然性の弁護』が譯刊されぬものか……。せめても邦譯のある「人文科学の不可避性について」(中尾健二譯、『静岡大学教養部研究報告 人文・社会科学篇』29-1、1993.9#)をウェブで讀む。
# http://dx.doi.org/10.14945/00005159
 本書全體を通し、ポストモダニズムに引き寄せて再評價されるロマン主義思想等は、掬すべきものありにせよ、今となってはドイツ特殊事情に偏した時論めいてしまって共感を興すまい。それよりも、合理主義や統一性に對する「偶然」「偶発性」をキイワードとして讀み直す方が面白い(卷末「索引」に立項あり)。――例へば、「II 近代化と合理主義・反合理主義」で引證されるロルフ・グリミンガーの論にクリスティアン・トマージウスが取り上げられてゐたが、法律家でもあったトマジウスが蓋然性論でも知られたことは偶然性に注意する觀點からは見逃せない筈。で、手代木陽『ドイツ啓蒙主義哲学研究――「蓋然性」概念を中心として』(二〇一三年)を讀むと……?

目次 http://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2011/05/1992-34da.html
http://book.geocities.jp/studia_humanitatis_jp/newbooks2003.html