中村幸彦著述集〈第2巻〉近世的表現 (1982年)

中央公論社 / 1982-06刊 / ¥7,020
購入: 2010-06-04  /¥3000
未読 古書

[投稿日] 2010-06-04

 我が關心する圈外文學論を「第二章 俳言とその流れ」に含むも、『中村幸彦著述集 第十五卷』「総索引」の當該項には落とされ第十三卷(「近世圏外文学談」)が採られてゐる。網羅的に拾ひ過ぎた索引が選別に倦ませるからといって取捨が過ぎるのも困りもの。
 月報(第一號)は小西甚一と谷沢永一。小西「中世的表現」は時代區分論として中村へ異見を述べた批判になってゐるのだが、つねづね小西中村兩人を贔屓とする谷澤がいづれを是としたのか、ついぞ兩論を突き合せたものを見ない。 
Cf. http://d.hatena.ne.jp/okjm/20060403/p1

石塚友二伝―俳人・作家・出版人の生涯

沖積舎 / 2002-07-02刊 / ¥3,780
購入: 2010-06-04  /¥600
讀了: 2010-06-08 文学・評論

[投稿日] 2010-06-04

 起伏無く且つ論評を挾まぬため面白味は薄いが、淡々と細敍する姿勢を述ベテ作ラズと好もしく感ずる向きもあらう。趣味の違ひとしておく。但し誤植多し。問題は記述が何に據ったのかで、卷末に「参考資料」一覽あれど何をどこから引いたのやら文中に一切參照指示無く、文獻考證癖を滿たしてくれぬ。察するに、主たる材料は石塚友二自身の隨筆類で、一人稱を三人稱に書き直しながら時系列順に要約していったものかと思はせるが、當れりや。俳句に關心無きも出版人としての人脈は興味そそり、特に岩本和三郎ら書物展望社・文體社時代の同僚についてはもっと知りたいところ、いづれ別口から調べねばなるまい。
 二〇〇一年十二月刊初版の新裝版。

http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20140707/p2