ストイックなコメディアンたち―フローベール、ジョイス、ベケット (転換期を読む)

未来社 / 1998-11刊 / ¥2,052
 /¥0
讀了:  文学・評論

[投稿日] 2009-10-29

 表題からは判りにくいが、マーシャル・マクルーハンの弟子がウォルター・オングに獻げた小著。つまり文學論としてよりも、『グーテンベルグの銀河系』『声の文化と文字の文化』と共に讀まるべき本。メディア論的な精神史とでも言はうか、活字印刷が人間の思考や思想のあり方をどう變へたかがこの本の基底にある關心で、特に第二章のジェームズ・ジョイス論に組み入れられたといふ「書物としての書物」の論が刺戟的だった。活字人間たることを自任する者にとっては、我が事として思ひ當る評言が隨所に見られて、そこが面白い。
 拙文「註(についての註)」に引いた。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/1959/notes/comment.htm

目次 http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624934224

スタイルの詩学―倫理学と美学の交叉(キアスム) (叢書 倫理学のフロンティア)

ナカニシヤ出版 / 2000-12刊 / ¥2,592
購入: 2011-01-30  /¥100
讀了: 2011-02-15 人文・思想

[投稿日] 2011-01-30

 スタイルの二元論を、樣式/個性、規範的/記述的とか言ひ換へたあたりをもっと突っ込んでくれないと、面白くならぬ。佐藤康邦・久保光志・西村清和・小田部胤久の論考は幾らか讀める。湯浅弘のニーチェ論は掻い撫で。編者の一人である山田忠彰のは無意味。つまり、倫理學は益無し。

目次 http://honto.jp/netstore/pd-worklist_0601967684.html

シンポジウム日本文学〈11〉幕末の文学 (1977年)

学生社 / 1977-03刊 / ¥2,052
購入: 2011-03-27  /¥300
讀了: 2011-04-03 古書

[投稿日] 2011-03-27

 神話論的發想から語る松田修が馬鹿に見えてしまふ、大咄のやうで。橋川文三は呼ばれた意味が餘り無い。野口武彦が基調報告の「変革期の儒者・文人像」の章が、芳賀徹・富士川英郎とも噛み合ってゐるし、一番興味を惹く。前田愛の『幕末・維新期の文学』も再讀しよう。

ジュリスト 1968年6月15日号(No.400)「400号記念特集 学説百年史」

有斐閣 / 1968-06-15刊 / ¥500
購入: 2015-05-01  /¥500
未読 社会・政治・法律

[投稿日] 2015-05-01

 學史早わかりの足しに。
目次 http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/014003

システムと認識 近代科学の脱構築〈モナド・ブックス52〉

海鳴社 / 1987-10-15刊 / ¥1,200
購入: 2016-10-22  /¥100
讀了: 2016-11-15

[投稿日] 2016-10-22

 第五章で「ムジールのマッハ哲学への傾倒」を論じてをり、大川勇『可能性感覚』(二〇〇三年)の「文献一覧」にも擧がってない先行研究である。
「本書は、すでに発表した「近代科学と数理的システム論」(「生物学史研究」四〇巻、一九八二)、「生物学とシステム論」(『二〇世紀自然科学史』(下)、中村禎里編著、三省堂、一九八三)、「還元主義の諸問題」(「桃山学院短期大学紀要」、一九八四)に基づきながら、主にカント認識論に重点を置 いて書き下ろしたものである」(「むすび」pp.159-160)。卷末「参考文献」は章毎に文獻を列擧するが、註ではないので本文での參照に照應する出典は必ずしも明確でない。薄い小册子形態の〈MONAD BOOKS〉といふ叢書の性格上、概略に留まって詳述できずにゐるが、それでも厚めであり、枠をはみ出してゆく興味がある。「紙幅の関係上[……]現代システム理論で生じている興味あるテーマに詳しく言及することはできなかった。」「それらの問題に対しすでに四、五年前から準備しているものを公にしたい」(「むすび」p.160)と抱負を語るも、やはり小著の『「複雑-安定性」のドグマ はじめてのシステム論』(ハーベスト社、一九九六年)しか該當する著書は出なかったやうだ。システム論を概觀する本書は、謂はば系統發生のうちに個體發生への展開に至らぬまま潛勢態に置かれた諸種子を包藏せるが如し。
 近ごろ讀んでゐたカッシーラーに見え隱れする關心として有機體論的思考を氣に懸けてゐたことは遺著『認識問題 4』に至ってやうやく顯著になるが、この鞠子英雄著は、さうした生物學の哲學(或いは理論生物學)がどうして追究されなければならぬのかを、ベルタランフィの一般システム理論から振り返って、マッハやカントに遡りつつ、生氣論の「実体―因果主義」を脱した現象主義として説いてゐる。ムージルらを例に、合理的に「認識の相対性」を突き詰めるとニヒリズムに結びつくといふのも、大いに肯ける所。思はぬ拾ひ物で、面白かった。

目次
まえがき
第1章 システミズムの諸相 
 構造数学とシステム認識/抽象画の形成とシステム認識/etc.
第2章 現象主義としてのシステム認識 
 カントとシステム認識/現象主義と実在論/現象論と現象主義との区別/etc.
第3章 システミズムの二大潮流 
 「近代科学vsシステム理論」の再検討/数理的システム理論の流れ/etc.
第4章 マッハのシステム思想 
 マッハは現象論者か?/マッハの生物学主義的認識論/etc.
第5章 マッハ思想の影響 
 ムジールと“可能的感覚”/システム認識からニヒリズムへ/etc.
第6章 ベルタランフィの一般システム理論 
 「生気論vs機械論」/〈有機体論〉から〈一般システム理論〉へ/etc.
むすび
参考文献
索引

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN01766737

サントリー文化財団30周年記念 サントリー学芸賞選評集

サントリー文化財団 / 2009-11-01刊 / - /
購入: 2016-04-29  /¥100
未読 人文・思想

[投稿日] 2016-04-29

 「非売品」。書評集と見做せる。
http://www.arsvi.com/b2000/0911sbz.htm

ことばの宇宙 1966年12月号・第7号「特集=文字の世界」

テック言語教育事業グループ・ラボ教育センター / 1966-12-01刊 / ¥140
購入: 2015-11-15  /¥100
未読 言語学

[投稿日] 2015-11-15

 宮本常一、安東次男、山口昌男、藤堂明保、植田覚、矢島文夫ほか寄稿。
 表紙デザイン粟津潔、目次デザイン平野甲賀。