文体序説 (1967年)

新読書社 / 1967刊 / ¥864
購入: 2010-09-26  /¥500
讀了: 2010-10-01 古書

[投稿日] 2010-09-26

 愚著。前半の方法論は、文學志向による「スタイル」概念への過大負荷、理論の體を成さない。後半はただの詩論。これだから詩の好きな奴って……『修辞学の史的研究』はマシだった筈だが。こんなものが研究史上特筆される(吉武好雄「日本における文章論の発達」)のは文體論研究の程度の低さを示すものだらう。増訂版(一九七一年)を探す必要もあるまい。「まえがき」に後の『筆蹟の美学』(→改題『筆跡の文化史』)に至る問題意識を見られ、「あとがき」から服部嘉香との交流が窺へたくらゐが精々收穫か。舊藏者名「伊藤富士麿」と印あれど他に書き込み等無し。

知の歴史社会学―フランスとドイツにおける教養1890~1920

名古屋大学出版会 / 1996-03刊 / ¥13,475
 /¥0
讀了: 2010-09-26 社会・政治

[投稿日] 2010-09-26

 副題にある「教養」よりは「教育」を論ずる。フランスの教育制度や教育改革について記述した前半は退屈。後半、第4章以降やうやく思想史らしくなってきて、ランソン、セニョーボス、デュルケームらの言説(專ら教育論だが)が紹介され考察されると興味が湧く。特に、歴史主義及びフランス史學史に關しては。しかしドイツとの對比はあまり成功してないと思ふ。