永原慶二著作選集〈第9巻〉歴史学叙説・20世紀日本の歴史学

吉川弘文館 / 2008-03刊 / ¥19,440
讀了: 2010-09-10

[投稿日] 2010-09-11

 惡い意味での思想史なのか? 歴史家の思想傾向・イデオロギーの裁斷で以て史學史を敍述したつもりになるのは止してもらひたい。特に、『20世紀日本の歴史学』「I 近代歴史学の成立」で大正・昭和戰前の史學を述べる段(本領である戰後歴史學を扱った「II 現代歴史学の展開」はまだしも役立つのだが)。情報量不足で知識の得られない歴史書なんて讀むに堪へない。思想の前に、もっと知識を! 清原貞雄『増訂日本史學史』(1944)の方が餘程立派だ。

明治時代の歴史学界―三上参次懐旧談

吉川弘文館 / 1991-01刊 / - /
讀了: 2010-09-10 ノンフィクション

[投稿日] 2010-09-11

 關心薄い分野ですら學者爺いの昔話を讀んでゐると面白くなってきてしまふのはなぜかしらん。 
 老人のそれからそれへの想ひ出話につきあふうち、高田早苗の美辭學は三上の代筆だ(p.40)とか、ひょんな一行一句が光って眼に飛び込んでくるのが嬉しい。無論、光を帶びるのは讀み手の照明の當て方次第にせよ。

ドイツ史学思想史研究 (1976年)

ミネルヴァ書房 / 1976刊 / ¥3,888
購入: 2013-11-23  /¥1500
讀了: 2010-09-10 古書

[投稿日] 2010-09-11

 期待したコゼレックらの概念史・社會史についてはこの本が取り上げた後の時代に屬すゆゑ論及されてなかった。概觀としてはよく調べてあるものの、對立する二項を取り出したところで論が終ってしまふのでもっと突っ込んだ考察が欲しい。これをちゃんと「思想」史とするには、哲學的訓練を經た上で諸概念の歴史的關係の内實を論理に即して考へ詰める作業が要る。
 本書刊行以降に發表された關聯論文として下記あり。
▼「ドロイゼンの「史学論」(一八五七)におけるGeschichteの問題 」名古屋大学教養部『紀要 A (人文科学・社会科学)』第23輯 、一九七九年三月
▼「ホイシにおける「歴史主義の危機」の問題 」名古屋大学教養部『紀要 A (人文科学・社会科学)』第25輯 、一九八一年九月
▼「戦間期ヨ-ロッパ歴史思想における「危機」の問題」名古屋大学教養部『紀要 A (人文科学・社会科学)』第30輯 、一九八六年二月
▼「『歴史的基礎概念事典』――〈Geschichte〉の項――」日本大学文理学部『學叢』第43號(昭和62年度)一九八七年十二月「特集 辞書・事典」

批判近代日本史学思想史 (1974年)

柏書房 / 1974刊 / - /
 /¥0
讀了: 2010-09-10 古書

[投稿日] 2010-09-11

 廣くカバーして色々ぶちこんであるので情報量はあるのだが、その情報の書誌記述などが精密でなく頼りにならず、且つ論理の取っ散らかった頭の惡い文章(文章のことであり、著者の頭腦が愚鈍とは言はない)。問題設定を生かして、誰か書き直してくれ。

書痴半代記 (ウェッジ文庫)

ウェッジ / 2009-04-20刊 / ¥720
購入: 2010-09-05  /¥400
讀了: 2010-09-00 エッセー・随筆

[投稿日] 2010-09-05

 「うたごえ運動」の關鑑子が關如來(柯公全集編者)の娘だったとは……と、どうでもいい瑣末事を拾って悦ぶのみ。だって記述が淡泊で物足りないんだもの。所詮は詩人の隨筆だからか(←偏見)。

ビザンツ世界の思考構造―文学創造の根底にあるもの

岩波書店 / 1978-04刊 / - /
購入: 2010-09-04  /¥100
未読 文学・評論

[投稿日] 2010-09-04

 クルツィウス『ヨーロッパ文学とラテン中世』流のレトリック論でもある。
 大塚信一『理想の出版を求めて』に編輯の回想あり。
http://www.transview.co.jp/books/4901510428/top.htm