[投稿日] 2015-08-15
學史早わかりの足しに。
Cf. 『ジュリスト』「400号記念特集 学説百年史」 http://mediamarker.net/u/bookish/?mid=2288840
「編集後記」(p.248)に戒能通孝が「法律学の研究状況」を危懼して曰く、「公表されているところをみると、教科書、コンメンタール、法学教室等々の、ある意味できまりきったものが圧倒的に多数であって、本来新らしい思索が盛れない発表形式に封じこめられているような気持がしてならない。」「それらの名前を尊重するかぎり、あるいは実務家向きの、あるいは学生向きの解説であって、解説以上に出ることができないのが原則である。いいかえれば解説水準で立案する以上の能力がない編集者の計画にひきまわされ、量的には多くの成果が生まれているけれども、質的には独創的な仕事をする時間が食われ、ともすれば新らしい研究が阻害されているのではあるまいか」。確かに法學の門外漢から見ると、他の學問分野より學會誌・紀要に載るやうな研究論文の比重が低くて概説書や講座ものに新説が發表されることが多い風で、文獻參照系統に違和感を覺えてゐた。卒論の無い學部と揶揄される法學部の、實學なるがゆゑの偏向か。